みかん小説
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"赤鬼教師が認めた禁断の解答" 第11話

駅の商は、帰宅ラッシュのピークをし過ぎ、じまいを始めた百や総菜のシャッターの音がガラガラと響いていた。 赤提灯が揺れる居酒のを通り過ぎると、焼き鳥のばしいタレの匂いと、会社員たちの談笑が漏れ聞こえてくる。普段は何気なく通り過ぎていたその常の景が、今夜はやけに温かく、おしくじられた。百の戦国代の々も、こんなに仕事を終えて、酒を酌み交わし、のない冗談を言いって笑っていたのだろうか。

商のアーケードの端、さな踏切のに、系の灯のを柔らかくへ漏らしているさながあった。 『ベーカリー・ロダン』。 きのの板が掲げられたそのは、蓮と葵が学の頃から通っている、老舗のパンだった。

ガラス戸の押しボタンを押すと、チリンチリンとレトロなベルが涼やかな音をてた。 内に入った瞬、ばしい焼きたての麦と、濃なバターの甘いりがを包み込んだ。棚にはすでに残りのなくなったパンが並んでいたが、奥のからはまだパチパチとオーブンがをます微かな音が聞こえている。

「いらっしゃい……おや、蓮ちゃんに葵ちゃんかい。こんな遅くに珍しいねえ」

レジの奥から顔をしたのは、い角巾とエプロンをつけた主の老夫婦の、おばあちゃんの方だった。

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蓮と葵の顔を見るなり、目尻の皺をくして破顔した。

「こんばんは、おばちゃん。まだパン、残ってる?」

「あるよあるよ。ちょうど今、の仕込みのにクロワッサンがし余計に焼きがったところさ。蓮ちゃんの好きなメロンパンも、個だけ残しておいたよ」

「マジで!? やった!」

蓮はトングとトレイをに取り、嬉々としてパンを選び始めた。 表面のクッキーがザクザクと音をてそうなきなメロンパンをトレイに乗せ、さらに黄に焼きがったクロワッサンをつ。葵はトレイを覗き込みながら、「私はあんぱんにしようかな」と、芥子の実が散らされたぶりなあんぱんをトングで丁寧に挟みげた。

会計を済ませ、焼きたての温もりがじんわりと伝わってくる袋を受け取る。 「はいよ、いつもありがとうね。勉、頑張るんだよ。もうすぐ受験だろ?」

「うん、ありがとうおばちゃん! ごちそうさま!」

をると、夜が先ほどよりも層たくじられた。だが、蓮の胸に抱えられた袋からは、まるでさな命のように確かな温が放たれていた。

は踏切を渡り、駅のにあるさなロータリーのベンチへと向かった。 植え込みのハナミズキの葉が赤くづき、灯のを浴びてしっとりと濡れている。ベンチの製プレートに腰をろすと、えたお尻に驚いた葵が「ひゃっ」

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とさく声をげた。

「ほら、めないうちにおうぜ」 蓮は袋をけ、まだ温かいクロワッサンをつ取りして葵に渡した。

「ありがとう」 葵は両でクロワッサンを受け取ると、をづけてスッと息を吸い込んだ。 「……いい匂い。バターのりがすごく濃い」

「だろ? ロダンのクロワッサンは町内だからな」

蓮はメロンパンにかぶりついた。サクッ、という音とともに、優しい甘みがいっぱいに広がる。空っぽだった胃袋に、確かな量が染み渡っていく。 葵もさくをけ、クロワッサンの端をかじった。パリパリと幾にもなったいが崩れ、芳醇なバターのが夜の空気に溶けしていく。

「……美しい」 葵が目を細めて呟いた。その表には、学の模試の結果表を見ているときには決して見せない、純粋で無防備な幸福が溢れていた。

「なあ、葵」 蓮はの端についたパンくずをで払いながら、ロータリーをゆっくりと回る線バスを見つめた。 「お、どこの学くか決めたのか?」

の問いかけに、葵はクロワッサンを持ったをしだけ止めた。 「……京の、国の文学部。史学科を目指そうとってる」

「へえ! 史学科なんだ。やっぱり歴史が好きなんだな」

「好き……っていうか、得だったから。でもね」 葵は膝のの袋を見つめた。 「さっき、あんたの話を聞いてたら、私、本当は歴史の何が好きだったのか、分からなくなっちゃってさ。

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