みかん小説
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"月5000円を貯めて泊まった旅館で、妻が「お嬢様」と呼ばれた" 第18話

「彩佳」

彩佳は座ったまま动けなくなった。

「お母さん……ただいま」

それが彩佳の母亲の、桐かよさんだった。

かよさんは部に入ると、膝をついて両腕で彩佳を抱きしめた。

「お帰り。ずっと待ってたのよ」

かよさんの肩が震えていた。

彩佳は母亲の着物の袖を掴んで、子供のように泣いていた。

俺はそっとちがって、縁侧の端へ移った。

2の邪魔をしたくなかった。

ちょうどそこへ、廊の向こうから軽い音がづいてきた。

鲤の饵やりを终えたゆいが、居さんに连れられて戻ってきたのだ。

ゆいは入りでち止まった。

泣いている母亲とらない女のを见て、目をパチパチさせた。

かよさんは彩佳から体を离すと、ゆいの方を向いた。

「ゆいちゃん、きくなったわね」

ゆいは照れながらペコリと头をげた。

「こんにちは。ゆいです」

かよさんは目を细めた。

「覚えてないわよね。あなたがまだ3つの时に会ったきりだもの」

かよさんは嬉しそうに笑った。

「おばあちゃんですよ」

ゆいは俺の顔を见た。

「おばあちゃん?お母さんのお母さん?」

かよさんが颔いた。

「そう、お母さんのお母さん」

ゆいはしばらく首を倾げていた。

それから、かよさんのそばまで歩いていった。

そして、着物の袖を指でつまんだ。

「绮丽な着物」

かよさんは声を诘まらせて、ゆいの头を抚でた。

それから、かよさんは縁侧の俺に向き直った。

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畳に両をついて、々とお辞仪をした。

「かずやさん、娘と孙を切にしてくださって、ありがとうございます」

俺は慌てて縁侧から戻った。

かよさんのに正座した。

「いえ、そんな、头をげてください。俺も2に支えてもらってますから」

その言叶に、かよさんは目に涙を浮かべた。

「毎、贺状が届くのが楽しみでね。ゆいちゃんの写真を见て、ああ、この子は今度こそ温かいにいるんだって。それだけが救いでした」

かよさんはし寂しそうに笑った。

「でもね、贺状はいつも帐场の棚に置いておくと、いつの间にかなくなってしまうの。主がどこかへやってしまうのよ」

かよさんは申し訳なさそうに言った。

「结婚のおらせの封筒もそう。主が先に受け取って、捨てたと言いました。私はを読むこともできなかった」

俺は惊いた。

「俺の纸も入っていたんですが……そうだったんですか」

かよさんは头をげた。

「ごめんなさいね」

俺は首を横に振った。

「読まれなかったのなら、それは仕方のないことです」

かよさんはため息をついた。

「主には今のことは话していないの。もって言えば、断るか构えてしまうとって」

かよさんは廊の方を见た。

「でも、玄関であれだけの騒ぎになったんですもの。今顷は谁かから闻いているでしょうね」

かよさんはそう言って、彩佳のを取った。

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「し、奥で话しましょう。主が会いたがっているかどうかは分からないけど、逃げずに1度だけ顔を见せてあげて」

彩佳は颔いた。

彩佳とかよさんが奥の离れへ向かう间、俺は车のトランクに残してきた荷物を取りにくことにした。

部に运ばれてきたのはボストンバッグだけだった。

ゆいの着替えを入れた纸袋は、奥に押し込んだまま见落としていたのだ。

ゆいは「おばあちゃんについてく」と言って闻かなかった。

だから彩佳たちと绪にかせた。

俺が玄関で靴を履いていると、松冈さんが现れた。

「お荷物でしたら私がお持ちいたします」

俺は靴纽を结びながら答えた。

「いえ、自分できます。しの空気が吸いたくて」

松冈さんはわずかに间を置いた。

「では、ご绪いたしましょう」

松冈さんはそう言って、俺の横を歩いた。

玄関の车寄せから段をりると、砂利の驻车场がある。

からも见ろせる场所で、俺たちのい軽ワゴンは1番端に止めてあった。

夕方のの空気はもうたかった。

松冈さんが歩きながらを开いた。

「先ほどは玄関先で取り乱してしまい、失礼いたしました」

俺は首を振った。

「いいえ。惊きましたけど」

松冈さんは远くのを见た。

「私はこの旅馆に、20歳の时から42おります。お嬢様のことはおまれになったからじげております」

松冈さんは歩きながら、ぽつりぽつりと话してくれた。

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