"月5000円を貯めて泊まった旅館で、妻が「お嬢様」と呼ばれた" 第22話
「お父さん、すっごく広いお风吕だった!お汤がちょっと茶いの!」
さっきまで泣いていたのが嘘のような顔だった。
俺はやっと肩の力が抜けた。
夕は、かよさんの希望で奥の座敷で取ることになった。
「せっかく帰ってきてくれたんですもの。今夜は族でべましょう。お客様のことは松冈さんと若いたちに任せてきました」
座敷にはきな座卓が置かれた。
4分の膳と、ゆいのためのさなお子様膳が並んでいた。
の间を背にして正尾さんが座った。
その隣にかよさん。
向かいに俺と彩佳とゆいが並んだ。
正尾さんは、さっきの段のでの来事に触れなかった。
俺もその话は持ちさなかった。
料理は次々に运ばれてきた。
鉢に盛られた先付け。柚子のりのお吸い物。
お造りは、裏の湧きで育てたという岩鱼とから届いたマグロ。
それから炭で焼いた台。
里芋と汤叶の炊きわせ。
どれも、俺がこれまでので见たこともないような料理だった。
お造りの皿が运ばれてきた时、彩佳がさく声を漏らした。
「この器、まだ使ってるのね」
かよさんが微笑んだ。
「ええ、あなたがさい顷に落としてしまって、松冈さんに泣きついた器よ」
彩佳は苦笑いした。
「割ってないわよ。お客様におしするにお盆ごと落としそうになって、松冈さんが受け止めてくれたの」
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かよさんは笑った。
「そうだったかしら」
かよさんと彩佳は顔を见わせて笑った。
2の间に流れていた6の时间が、しずつ解けていくように见えた。
ゆいのお子様膳にも、同じ流れでさな器が並んでいた。
ゆいは皿ごとに目を丸くした。
「これ何?」
ゆいはかよさんに闻いた。
かよさんはその度に嬉しそうに答えていた。
正尾さんは酒を饮まなかった。
に臓を悪くしてから、医者に止められているのだという。
俺も饮まなかった。
は4时间以の运転があるからだ。
かよさんがゆいに优しく寻ねた。
「ゆいちゃん、お父さんは普段どんな?」
ゆいはののものを饮み込んだ。
そして満面の笑顔で答えた。
「すっごく优しいよ!运动会にも来てくれるし、学で嫌なことがあったら话を闻いてくれるの」
ゆいは振り振りを交えて続ける。
「この、ゆいが热をした时もずっとそばにいてくれたんだよ。お母さんがお仕事のだったから、お父さんがお休みを取ってくれたの。夜もね、朝までずっといてくれたの」
俺は照れ臭くなってゆいを止めた。
「ゆい、もういいって」
けれどゆいは止まらなかった。
「お父さんね、ソーラン节の练习もしてくれたんだよ。腰がいって言ったら、次の筋肉痛で歩けなくなってたの!」
かよさんが声をして笑った。
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彩佳も笑っていた。
正尾さんだけが、黙って箸を动かしていた。
ゆいは箸を置いて、急に真剣な顔になった。
ゆいは真っ直ぐにを见た。
「それとね、お父さんね、ゆいとお母さんを旅に连れてくために、5间おを贮めてくれてたんだって」
かよさんが惊いて俺を见た。
「5间も?」
ゆいはきく颔いた。
「うん。毎5000円ずつだよ。通帐にね、同じのがいっぱい並んでるの。ゆい数えようとしたけど、途で分からなくなっちゃった」
正尾さんの箸が止まった。
ゆいはさらに言叶を続けた。
「お父さん、お昼ご饭はお母さんのお弁当なんだよ。おで买うとおがかかるから。タバコもやめたの。ゆいが臭いって言ったから」
ゆいは誇らしげに言った。
「このお泊まりも全部、お父さんのおなんだって。お母さんのおは使わないって、お父さんが决めたの」
座敷のがだんだん静かになっていった。
ゆいは浴の袂から、あの旅贮の缶を取りした。
お风吕へく时も放さなかったらしい。
ゆいは缶を両で持った。
「これはね、ゆいの旅贮。お伝いしたら10円もらえるの。3かかって1240円になったの」
ゆいは缶を両で持ちげて振った。
10円玉がジャラジャラと鸣った。
ゆいは笑顔で言った。
「だから、ゆいきくなったらお父さんを旅に连れてってあげるんだ。
今度はゆいのおで、お父さんを温泉に连れてくの」
俺はわず目头を押さえた。
箸を持ったまま、顔をげられなかった。
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