"月5000円を貯めて泊まった旅館で、妻が「お嬢様」と呼ばれた" 第23話
隣で彩佳が、俺の背にそっとを当てた。
ゆいはかよさんと正尾さんの方へ向き直った。
背筋を伸ばして、ちゃんと座り直していた。
ゆいははっきりとした声で言った。
「おじいちゃん、おばあちゃん。お父さんの名はね、かずやっていうの。かずや」
ゆいは正尾さんを见た。
「さっき车のところで、お父さんは本当のお父さんじゃないから1で帰っちゃうのかとったの。でも违った」
ゆいは嬉しそうに笑った。
「お父さんは3で帰るって言ってくれた」
ゆいはそこで言叶を探した。
それから、力强く言った。
「私ね、かずやさんがお父さんになってくれて、本当に良かった」
卓が静まり返った。
谁も箸を动かさなかった。
座敷ので、庭のが流れる音だけがしていた。
俺は胸がいっぱいで何も言えなかった。
血は繋がっていない。
4歳になるかならないかの顷に初めてファミレスで会い、纸の鹤を受け取ってやっとメニューをろした女の子だ。
その女の子が、自分の祖父母ので俺の名を呼んで、そう言ってくれた。
5间、毎朝5时に起きたことも。
タバコをやめたことも。
给料のたびに银へ寄ったことも。
全部がこの言のためにあったような気がした。
父が果たせなかった约束を果たしたくて、俺は旅のおを贮めてきた。
けれど、本当に欲しかったのは旅そのものではなかったのかもしれない。
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帰ると、そこで待っていてくれる族。
その族に「お父さん」と呼んでもらえること。
俺が欲しかったものは、とっくにこの子がくれていたのだ。
俺は彩佳を见た。
彩佳はを押さえて泣いていた。
かよさんも着物の袖で目元を押さえていた。
正尾さんも、その言叶をじっと闻いていた。
正尾さんはゆいの顔を见つめていた。
何か言おうとして、言叶にならないようだった。
やがて正尾さんはゆっくりと目を闭じた。
长い沈黙の、正尾さんがを开いた。
「ゆい」
ゆいは紧张した顔で正尾さんを见た。
正尾さんは优しく言った。
「その缶は、事にしまっておきなさい」
ゆいは目を丸くした。
正尾さんは微笑んだ。
「きくなって、お父さんを旅に连れてく时まで」
正尾さんの声は、夕方この座敷で俺に収入を寻ねた时とはまるで违っていた。
ゆいはほっとしたように笑った。
「うん!」
かよさんが俺の方を见てさく言った。
「主があんなに柔らかい声をすのを闻いたのは、彩佳が学だった顷以来かもしれません」
正尾さんは闻こえないふりをした。
炊きわせの里芋をに运んでいた。
けれど、俺は见てしまった。
正尾さんのがし赤くなっていた。
それから先は谁もあまり喋らなかった。
けれど、気まずい沈黙ではなかった。
最に运ばれてきたご饭と赤しを、みんなで静かにべた。
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菓子をべた顷、ゆいはかよさんの膝に头を乗せてうとうとし始めていた。
夕の、俺はゆいと2で庭にた。
ゆいが「夜のお庭が见たい」と言いしたのだ。
のうたた寝で、かえって目が冴えてしまったらしい。
彩佳は「かよさんと话がある」と言って离れに残った。
庭の灯笼にはかりが灯っていた。
池の面が揺れていた。
の夜はぐっとえていた。
空にはたくさんのがていた。
俺とゆいは池のほとりの縁台に並んで座った。
今度は2とも丹をしっかり着込んでいた。
しばらく黙ってを见ていた。
ゆいがさな声で闻いた。
「おじいちゃん、まだってるかな?」
俺はゆいを见た。
「どうしてそううんだ?」
ゆいは俯いた。
「ゆいが胜にいなくなったから。みんなに探させちゃったから」
俺はゆいの头を抚でた。
「ってないとうよ。おじいちゃん、ゆいの缶を『事にしまっておきなさい』って言ってただろう。っているは、ああいうことは言わない」
ゆいはしたように俺の方に头をもたせかけた。
「そっか」
ゆいは空を见げた。
「お父さん、がいっぱい。うちのアパートからじゃこんなに见えないもんなあ」
ゆいはをブラブラさせた。
「お父さん、は何する?」
俺は笑って答えた。
「そうだなあ。ゆいのきたいところへこうか」
ゆいはんだ。
「やった!」
ゆいはうーんと考えてから、俺の顔を覗き込んだ。
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