みかん小説
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"認知症に仕立てた息子夫婦が奪った実印は偽物だった" 第11話

「もう全部終わったわ。もう丈夫よ」

その言葉を聞いた瞬、はる子の目から涙が溢れた。 「千恵子さん……」 千恵子の胸に抱かれ、はる子は声をげて泣いた。今度はしなかった。 彼らが築きげた悪質な計画は、完全に崩れったのだ。

はる子はみ慣れたがへ帰ってきた。 玄関のドアをけると、懐かしいの匂いがした。 具はすべて元の所にあったが、っすらと埃が積もっている。 緒に来てくれた千恵子が、すぐに窓をけて掃除を始めてくれた。

「千恵子さん、そんなことしなくてもいいのに」 「いいからじっとしてて。私がやるから」 そのから、千恵子は毎通ってきては掃除や事の世話をしてくれた。

目の昼、健の弁護士から話があった。 健が面会を求めているという。 「いえ、結構です」 はる子はく答えて話を切った。今はまだ、彼らを許すことはできない。

拘置所から届いたも、封せずに引きしの奥にしまったままだ。 はる子にはまだが必だった。

週が経ち、はる子はしずつ常を取り戻していった。 夕を終えて皿洗いをしながら、はる子は千恵子に告げた。 「ありがとう。でも、もう丈夫よ。毎来なくても」

千恵子は優しく微笑んだ。 「そう。じゃあ今はく帰るわね。辛くなったら、いつでも話して」

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千恵子が帰り、はる子はになった。静かだが、寂しくはない。

寝へき、引きしの番から古いハンカチを取りした。

広げると、本物の実印が現れる。はる子はその印鑑をしっかりと握りしめた。 警察の措置により、財産は仮差し押さえの形で保護されている。息子夫婦はもうしできない。 病院の虚偽の記録も訂正された。はる子はともに健康だ。

リビングに戻り、ソファに座って通帳をいた。 最初のページには、預者『はる子』とかれている。 通帳を胸に抱きしめた。もう度と、自分の財産やを誰かに預けたりはしない。自分で管理するのだ。

引きしから旅のパンフレットを取りした。買ったまま、度もいていなかったものだ。

、京都。きたい所はたくさんある。 遅いなんてことはない。今が始まりなのだ。

洗面所へき、鏡のの自分を真っすぐに見つめる。 皺の寄った顔、髪の混じった髪。

しかし、その差しは確かな力を宿して輝いていた。 「もう誰かの母親じゃない。私は、私よ」

窓のにはが来ていた。々にはしい芽がている。 季節は移り変わり、はる子のも変わった。 誰かに決められたではない。朝にコーヒーをみ、聞を読み、夕方には散歩にかける。自分で作る自由なだ。

はる子は旅のパンフレットののページに、さなメモをき込んだ。 『千恵子さんとに』 窓からは、温かなの差しが真っ直ぐに差し込んでいた。

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