深夜、静かな田舎道を走る一台の車。運転しているのは夫、後部座席には、今にも赤ちゃんを産まんとする私が座っている。隣には付き添いとして、心配そうに私を見守る母。産院までは車で1時間の距離。病院の指示で、陣痛の間隔が20分になったら向かうように言われていたが、途中でその間隔がどんどん短くなっていく。
「あと少し…あと少しで病院に着く…」
5分間隔になった陣痛に、痛みをこらえながら心の中で必死に自分を励ます。しかし、そのとき私たちの車は急に警察に止められた。「飲酒検問です、車を止めてください」と言われ、夫は慌てて窓を開けた。
「もうすぐ赤ちゃんが産まれます!どうか病院まで行かせてください!飲んでません!」
夫は切迫した表情で必死に訴える。母も「飲んでいないし、急いで病院に行かなきゃいけないんです!」と繰り返す。しかし、警察官はそんな私たちを冷たい目で見て言った。
「演技じゃないの?」
その言葉が、私を怒りの頂点に達させた。耐えきれない痛みの中、私は声を絞り出して警察官に向かって叫んだ。
「お前、名前はなんて言うんだ!何かあったらお前を訴えてやる!税金ドロボーが!!」
私の怒鳴り声が響く車内。痛みと怒りが混ざり合い、理性を保つのが精一杯だった。他の警察官たちも驚いて私を見ていたが、やがて渋々車を通してくれた。結局、病院に到着してから15分後、無事に元気な赤ちゃんを出産。
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