ある日、花見の帰りに私と家内、そして疲れ切った三歳の息子と一緒に電車に乗りました。電車は混んでおり、立っている老人も多く、空いている席は見当たりませんでした。私は疲労困憊の中、息子を抱き続けるしかなく、三十分間の地獄が始まろうとしていました。
その時、目の前に座っていた老人が突然立ち上がり、「座りなさい。ほら、ここ、ここ」と私に席を譲ってくれました。驚きと感謝の気持ちが入り混じり、「いえいえ、平気です。
その言葉に私はハッとし、過去の一瞬が蘇りました。そういえば、以前通勤途中にこの老人に席を譲ったことがありました。まさかその時の恩返しを受けるとは思ってもいませんでした。私は感謝の気持ちでいっぱいになり、「助かります」と言いながら、家内に子供を抱かせて座らせました。
この出来事は、「情けは人のためならず」という言葉を強く実感させるものでした。目の前の老人は私に対して親切を返してくれただけでなく、その親切が私たち家族全体に温かさをもたらしました。電車内の他の乗客たちもこのやり取りを見て、心温まる光景に微笑んでいたように思います。
また、ある日バスに乗った際、満席で立っていると、小学一年生くらいの女の子が「どうぞ」と席を譲ってくれました。女の子の母親もその行動を微笑ましく見守っており、私たちはその親切に心を打たれました。小さな子供が率先して席を譲る姿を見て、私も娘をこんな風に育てたいと強く感じました。
親切は人々の心に深く刻まれ、その影響は広がっていきます。私たち一人一人の小さな親切が、他の誰かの心を温かくし、その親切がまた次の誰かに受け継がれていくのです。
この出来事を通じて、私は親切の大切さを再認識しました。電車やバスといった公共の場での親切は、一見些細なことに見えますが、その影響は計り知れません。私たち一人一人が日常生活の中で少しでも親切を心がけることで、世界はもっと温かく、住みやすい場所になるでしょう。
お爺さん、そして小さな女の子のように、他人への親切を忘れずに生きていきたいと思います。今回の経験を胸に刻み、これからも周囲の人々と温かい関係を築いていきたいと心から願っていま