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跡取りを産めぬと追われた嫁と、姑の漆塗りの小箱

跡取りを産めぬと追われた嫁と、姑の漆塗りの小箱

藤沢 千代 完結 0

江戸の造り酒屋へ嫁いで6年、家業と病床の姑・お常を支え続けたお春は、「跡取りを産めない」という理由だけで夫・聖治郎から突然離縁される。 だが追い出される前夜、お常は密かに漆塗りの小箱を託していた。中には自らの手元金と、「生前の意思でお春へ譲る」と記された証文が残されていた。 聖治郎が後に盗みを疑って訴えても、住職が保管していた控えによって潔白は証明される。 お春は姑の金を元手に、酒蔵で培った発酵の知識を生かして酒饅頭の商いを始め、やがて店には行列ができるまでになる。 さらに誠実な炭売り・佐吉と出会い、「子ができなくても構わない」と受け入れられたお春の人生は大きく変わっていく。一方、金のために妻を捨てた聖治郎の酒蔵には、静かに没落の足音が迫っていた――。

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